『7つの習慣』は、著者であるスティーブン・R・コヴィー博士が、成功に関する200年分の文献を調査、分析、実践し、その考えを一冊にまとめた本です。
前回の記事では、個人の感想をレビューしましたが、「習慣」の具体的な内容にまでは触れていませんでした。もっと具体的に書きたいと思った理由は、私自身が経験した人生でとても辛く、悲しい出来事がきっかけです。今までの私だったら、きっと塞ぎ込んでいたことでしょう。
しかし『7つの習慣』に出会い、日々の生活で実践していた私は、内面の「考え方」が変わり「自分をコントロールする力」を身に着けようとしていました。傷ついた心を救ってくれたのは、私自身でした。むしろ、辛い出来事により、さらに人格を鍛え、強くなることが出来たと今は前向きに考えています。
この記事では『7つの習慣』の重要な第一の習慣「主体的である」の章を解説していきます。
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「主体的である」とはどういう意味?
主体性の定義
「主体性」という言葉は、よく耳にしたり使ったりしますよね。でも「その定義は」と聞かれると、曖昧じゃありませんか?
「自発的に行動する!」とか、「率先力がある!」とかいう意味で使ってたけど・・・
『7つの習慣』における「主体性」の定義は、「自ら選択し、選択したことの責任を引き受けること」と定義しています。
これは、行動だけではなく、人間として自分の人生の責任を引き受けることを意味します。
主体的な人って率先して動くだけじゃなくて、精神的にも自立して、周りの状況に流されることなく、自分自身をコントロールする力がある人ってことか!
人間だけが自分を「プログラミング」できる
私たち人間には、動物にはない以下の4つの能力があります。
- 「自覚=自分自身を客観的に見つめる能力」
- 「想像=現実を超えた状況を頭の中に生み出す能力」
- 「良心=善悪を区別し、考えや行動を導く原則を意識できる能力」
- 「意志=他の影響に縛られずに自覚に基づいて行動する能力」
これら4つの能力は、どんなに知力の高い動物でも、どれ1つとして持っていません。
動物は、何かの行動をとるよう調教することはできても、自分で選ぶことはできません。コンピューターに例えるならば、動物は本能や調教でプログラミングされた内容を自分で書き換えることができない(そのような概念を意識できない)のです。
でも、人間は違います。人間だけに備わっている4つの能力(自覚、想像、良心、意志)を使えば、本能や調教とは関係なく、自分で新しいプログラミングを書くことができる(意識ができる)のです。
もちろん感情的になることだってあります。しかし、感情に支配されて行動するのは、限られた反応しかできない動物と同じです。人間にしかない4つの能力を活かせる「主体的な人」だったらどうするか考えてみましょう。
「感情的になっている自分を自覚する、そして感情的になったまま行動した時の結果を想像する、その行動の善悪を良心で判断したうえで、自らの意志で行動を選択する」ってことだね!
人間だけが感情よりも自らの価値観を優先させることができるということを覚えておきたいですね。
「主体性」を身に着けるべき理由とは
「〇〇のせい」にすることがなくなる
社会の通念、人の考えや意見、物の見方や捉え方、これらを総称して「社会の鏡」と呼んでいます。そして多くの人は、この鏡を通して、物を見たり捉えたりしている。と著者は言います。
現在、人が決定づけられている3種類の決定論があります。
- 遺伝子決定論:先祖から受け継いだ血のせいだ
- 心理学的決定論:両親の育て方のせいだ
- 環境的決定論:周りの環境のせいだ
しかしこれらの理論は、どれだけ正確に人間の本質を描いているでしょうか。
このような決定論を信じて疑わないために今の状況から抜け出せないと考えるほうが妥当でしょう。
まずは自分がどのような価値観、原則に沿って責任もって生きるかを考えることで大きな道が開けるのではないでしょうか?
「主体性」がある人は良好な人間関係が築ける
人間関係においても主体性は大切です。
人はほとんどの場合、相手がどういう人間なのかを客観的に見ているのではなく、自分の関心事や人格的な弱さを通して相手を見ているのだといいます。
こうした思い込みは私たちの可能性を制限し、他者と関係を築く能力も弱めてしまいます。
本当の意味で自分を客観的に見ることができ、他者とも強い結びつきを得られるのです。
これはなかなか意識することが難しく、私の中の課題でもあります。。
感情をコントロールできるようになる
「あなたの許可なくして、誰もあなたを傷つけることはできない」
エレノア・ルーズベルト
人生には3つの中心となる価値観があるのだそうです。
1つは「経験」、2つ目は「創造」、そして3つ目が「姿勢」です。
このうち最も大切なものは何だと思いますか?私は直感で、経験だと思ったのですが、ハズれました。
著者いわく、「姿勢」なのだと言います。これは、私たちが人生で起こることに、どう「反応」するかが最も大切だということです。
本の中にヴィクトール・フランクルという心理学者の体験記があります。私はこの体験記に衝撃を受け、人生観を変えられたといっても過言ではありません。
フランクルは精神科医でユダヤ人でもあり、第二次世界大戦時にナチスドイツの強制収容所に送られました。彼の家族は皆収容所で病死しています。自分もガス室に送られるのか、裸にされ、小さな独房に入れられ、彼を支配しようとする看守たち。そんな想像を絶する過酷な環境の中でも、彼は人間だけが授かった自覚という能力を働かせ、人間の本質を支える原則を発見したのです。
それは「刺激と反応の間には選択の自由がある」という原則です。
自分の身に起こること、すなわち受ける刺激と、それに対する反応の間には「反応を選択する自由もしくは能力がある」ということをフランクルは塗炭の苦しみの中で悟ったのです。
肉体的に傷ついたり、信じていた人から裏切られたり、受け入れ難いこともあるでしょう。でも、決して自分の価値観までも傷つけることを許してはいけないのだと、そう強く感じさせられます。自分を強く持ち続けるということは難しいですが、投げやりにならなければ人生何とかなると思っています!
「主体的な人」と「反応的な人」の違い
支配するか支配されるか
今、あなたの人生が他の状況に支配されていると感じるとしたら、それは意識的にせよ無意識的にせよ、支配されることを自分で選択したからに他なりません。
そのような選択をすると、人は「反応的」になります。「反応的」な人は、物理的・社会的な環境に影響を受けやすい人です。天気が良ければ気分も良い。人にちやほやされると気分がいい。という具合にです。
「主体的」な人は、自分の中に自分の天気を持っています。雨が降ろうが陽が照ろうが関係ない。他者の出方次第で気分が変わることもない。自分の価値観に従って行動する能力を最大限に活かし、自分をコントロールできるのです。
対して〝責任は自分にある”と考えられる主体的な人は、インサイド・アウト(内から外へ)です。自分をコントロールし、自分から変化することで周りに影響を与えられる人です。
両者が得られる未来の精神的な豊かさは、とてつもなく大きいと感じます。
感情のエネルギーの使い方の違い
あなたが今、特に関心があることは何ですか?
例えば仕事。いかに効率良く仕事ができるか。又はいかに上司の機嫌をとるか。社会経済のことだったり芸能人の熱愛や不倫報道だったり。人によって関心事は様々だと思います。
実際に書き出してみると、自分がコントロールできる問題(=影響の輪)と、自分ではコントロールできない問題(=関心の輪)があることに気づくでしょう。
- 自分でコントロールでき、影響を与えることができるもの(効率の良い仕事、自分にできる社会経済活動)
- 自分でコントロールできないもの(上司の機嫌や行動、芸能人の熱愛等)
この二つのうち、自分の時間と労力を主にかけているのはどちらでしょうか?
「主体的」な人は、影響の輪の領域に労力をかけています。自分が影響を及ぼせる物事に働きかけることで、主体的な人のエネルギーは、影響の輪を押し広げていくポジティブな作用があるのです。
「反応的」な人は、関心の輪の中にとどまっていることが多いです。他者の弱み、周りの環境の問題点、自分にはどうにもできない状況に関心が向き、ポジティブな変化を起こすために必要な主体的な率先力を発揮することが出来ません。
こうした事柄ばかりに集中していると、人のせいにする態度、反応的な言葉、被害者意識が強くなってネガティブなエネルギーが増え、その結果、影響の輪はどんどん小さくなっていってしまいます。
自分の人生に集中して、自分の内側にあるものと自由に豊かに生きていきたいですね。
以上、第1の習慣「主体的である」の解説でした。自分は反応を選択する能力のある人間であることを自覚し、自分の価値観に沿って行動していくことで、人生の豊かさが格段と増すでしょう。「主体的である」ことは第2の習慣以降の土台ともなるものです。ぜひ日常生活で意識し、実践してみてくださいね。
まとめ
- 「主体的である」とは「自ら選択し、選択したことの責任を引き受けること」である。反対に「自ら選択せず、周囲の状況や他人に流される」姿勢を「反応的である」という
- 主体的である人は、人間がだけが持つ「自覚」の能力を働かせ、感情よりも自分の価値観を優先させることができる
- 人生において最も大切なことは、起きたことにどう「反応」するかの姿勢である。刺激と反応の間には自ら選択する自由がある
- 主体的な人の変化は「インサイド・アウト(内から外へ)」である。自分自身の反応や発言、内面にあるものを変えていくことで、外にあるものを良くしていこうとする
- 主体的である人は自分がコントロールできる「影響の輪」に集中できる。そうすることで影響の輪を広げていく
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