前回の記事では、著書『7つの習慣』から学ぶ第1の習慣「主体的である」について解説しました。
第1の習慣をスタート地点とするならば、第2の習慣はゴール設定をすることになります。
自分の人生の終わりを思い描き、人生で本当に成し遂げたいことを実現するための確固たる信念やぶれない軸を育てていく習慣です。
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「終わりを思い描くことから始める」とは?
この章の1ページは、こんな文章から始まります。
「このページは、邪魔が入らず1人になれる場所で静かに読んでほしい。頭の中を空っぽにし、意識を集中し、心を開いて読んでもらいたい」と。
私は心を落ち着かせ、意識を全集中させて、その文章を読みました。
省略して以下に紹介します。
あなたは、ある晴れた日に、ある葬儀に参加しています。あなたは、会場の前方に進んでいき、棺の中を見ます。なんと、その棺の中にいるのは、あなた自身です。そして、参列者の顔を思い浮かべてください。親族、友人、仕事関係の人、これらの人たちが弔辞を述べてくれるようです。その弔辞が読まれていくことを想像して下さい。その弔辞の内容は、何ですか?あなた自身あるいはあなたの人生を、どのように語ってほしいですか?
いつか迎える人生の最後の瞬間。その瞬間を、しっかり、真剣にイメージして下さい。
何故ならそれは 〝誰にでも必ず来るゴール” だからです。
自分の大切な人に対して、自分は何を残したかったのか?どんな影響を与えたかったのか?これらについて深く考えなさい。とコヴィー博士は言います。
その瞬間、あなたの本当の価値観に触れることができるからです。その価値観を念頭に置いて日々を過ごすことこそが重要だ、ということなのです。
「すべてのものは2度つくられる」という原則
第2の習慣は「すべてのものは2度つくられる」すなわち、すべてのものはまず頭の中で創造され、次に実際にかたちあるものとして創造されるという原則に基づいた習慣です。
家を建てることを想像してください。
まず理想の家を頭の中で具体的にイメージします。これが第一の創造(知的創造)です。
思い描く理想の家がイメージできたら設計図におこし、建築計画を立てて工事が始まります。これが第二の創造(物的創造)です。
もしも、第一の創造(知的創造)を疎かにする、つまり「どのような家を建てたいのか?」が曖昧で、ゴール設定をしないまま工事を開始したらどうなるでしょうか。
はい。建設費用だけが膨れ上がり、いつまで経っても満足いく家は完成しないということにもなりかねませんね、、。
「二度測って一度で切る」が大工の鉄則です。人間も同じで、理想の将来をまずはしっかりと第一の創造で思い起こすこと。それをいつでも確認できるようにしておくことが大切です。
子育てにも例えられます。
- 自分に責任を持てる子供に育てたいと思う=第1の創造
- そのことを念頭において子供と接する=第2の創造
目標が明確であれば、行動も明確です。親の一時的な感情・気分で躾を行うことが、いかに目標とかけ離れた結果になるのか理解できるので、子供の自制心を損なったり自尊心を傷つけたりすることはないはずです。
ミッション・ステートメントをつくる
個人のミッション・ステートメント
さぁ、いよいよ実践編です。この習慣を身に着けるにためには、個人のミッション・ステートメントをつくることが効果的です。
国の法律やルールが憲法に基づいてつくられているように、人も、個人の憲法を定めておくことで、どんな状況にも対応できる軸ができるのです。
ミッション・ステートメントをしっかり設定したい人は、その方法・書き方について本を読みながら書くことをおすすめします。
なぜなら、私たちには複数の役割があり、人それぞれ大切にしたい「中心」が異なるからです。この本の中では、8パターンの中心(配偶者中心、家族中心、仕事中心、お金中心etc..)それぞれの効果性について、分かりやすく解説してくれています。次の項で少し紹介していきます。
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また、ミッション・ステートメントは数時間で書けるようなものではありません。長期的・持続的成功を望むならば、まずは自分の奥底にある価値観とじっくり対話する必要があります。
自分自身の心と深く向き合い、分析し、表現を吟味する。完成してからも定期的に見直し、状況の変化によって、物事に対する理解や洞察力も深まっていった際は、必要な修正を加えていく。
私がミッション・ステートメントをつくって直ぐに実感したことは、夫と喧嘩した時の向きい方が変わったことです。とても効果的な話し合いができるようになったと思います。
また、自分の価値観や目標が明確になると、日々の生活で大切にしたいことが明確になります。
簡単実践編
とりあえず書いてみたい!という方のために簡単実践編を用意しました。
まず、自分がどのような人間になりたいのか(人格)何をしたいのか(貢献、功績)それらの土台となる価値観と原則を理解する必要があります。
そこで、以下について書き留めてみましょう。
- 「自分の葬儀を想像する」場面で感じたこと
- 「弔辞で言ってほしいこと」を想像したときに触れた価値観
- 「自分の本当の成功」とは何か
それらに沿って、日々の行動の指針を具体的に設定していきます。箇条書きでも文章にしてもどちらでも構いません。ポイントは以下です。
- 個人的な内容であること
- ポジティブな姿勢が表現されてあること
- 現在形で書かれてあること
- 視覚的であること
- 感情が入っていること
「子供たちが良くない振る舞いをしたとき、私は(個人的)、知恵と愛情、毅然とした態度、そして自制心を持って(ポジティブな姿勢)対応する(現在形)ことに、深い満足感(感情)を覚える」
役割と目標を特定する
私たちは誰でも、人生でさまざまな役割を持っています。
ミッション・ステートメントを書くとき、自分の人生での役割を明確にし、それぞれの役割で達成したい目標を立ててください。
なぜなら、私たちが人生をよりよいものにしようと努力するときに陥りがちな問題として、思考の幅が狭くなってしまうことがあるからです。
人は往々にして虚しい勝利を手にしてしまいます。成功のためにと思って犠牲にしたことが、実は成功よりもはるかに大事なことだったと突然思い知るのです・・。
しかし、自分にとって本当に大切なもの見失わないよう常に意識できれば、それに反する行為をとることはありません。
そのため、コヴィー博士は「役割ごとに果たしたい目標を設定しなさい」と言っています。
そうすることでミッション・ステートメントのバランスがとれ、より実行しやすい内容になるでしょう。
家族のミッション・ステートメント
個人のミッション・ステートメントが出来たら、家族のミッション・ステートメントをつくることも効果的です。
多くの家庭は、何か問題や危機と直面した時に「逃避」または「対立」の態度をとっています。口を聞かなくなる、冷たい態度をとる、家族を批判する。もちろん家庭の雰囲気はどんどん悪くなります。
これが「揺るぎない原則」を土台とした家族だったらどうでしょう?
家族にとって本当に大切なことを話し合い、家族がお互いを尊重しそれぞれが意見を述べ合う。こうして家族全員で、家族の価値観・ビジョンを明確化します。それは家族の憲法です。何か問題や危機に直面しても、家族全員が大切にしたい軸が明確化していれば、それぞれが大事なことを思い出すことが出来るようになります。
コヴィー博士の家には、リビングに家族のミッション・ステートメントを飾って毎日家族がチェックできるようにしているそうです。年に2回、学年の始まりと終わりに新しい目標を見直しているそうですよ。とても良いですよね!!
何か問題に直面するたびに話し合い、そのたびに2人の結束が強くなっていくのを感じています。ミッション・ステートメントをつくるプロセスもとても大切なんですね!
組織のミッション・ステートメント
もちろんミッション・ステートメントは組織の成功にとっても重要なものになります。
あらゆる組織に共通する根本的な問題の1つは、自分の働き方、あるいは生き方を他の人から決められるとしたら、本気で取り組むのは無理だということです。
なのでコヴィー博士は、「組織の全員がミッション・ステートメントを作り上げるプロセスに参加する必要がある」と述べています。
組織全員が共有するビジョンと価値観を合わせて会社の組織構造、経営スタイルを整えるには、とても時間が掛かります。時間だけでなく忍耐、参加、共感、正しい原則が必要です。
しかし、正しい原則に基づいているミッション・ステートメントなら、必ず効果を発揮するでしょう。
まとめ
私たちは、日々の忙しい生活に追われ「自分の人生の目的」や「何を成し遂げ最後に何を残したいのか」を考える機会はほとんどないかもしれません。
でもそれは「ゴールを設定せずに走っているのと同じ」だということです。必死に走り続けて何処かに着いたけど、ここがゴールではなかったと気づき、走り方が違ったことに気づく。こんなに虚しい勝利はありません。
ゴールを知ることで、今走るべき道、正しい走り方が分かります。目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことで、私たちの人生は全く違ったものになるはずです。
『7つの習慣』の第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」ことで、自分自身と深い対話をし、奥底の価値観に触れることができます。そして確固たる自分のミッション・ステートメントをつくることができます。それは自分を守ってくれる憲法となり、どのような変化にも耐えられる不変の強さを与えてくれることでしょう。
この記事が、これからより良い人生を歩んでいきたいと思っている人の何か少しでもヒントになればうれしく思います。
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